株式会社設立の流れ
一般的な株式会社設立の流れは以下の通りです。
※ここでは、発起設立について記載しております。
1.基本事項の決定
株式会社設立にあたり、まずは下記基本事項を決定します。
具体的には、
などを決定します。
これらは定款記載事項にもなりますので、慎重に決定する必要があります。
2.許認可(許可・認可・届出)の要否の確認
事業内容によっては、許認可(官公庁の許可・認可・届出)が必要な場合があります。
設立後にそういった手続が必要かどうかを、予め担当官公庁に確認しておきます。
許認可が必要な場合、特に事業目的・本店所在地・資本金について慎重に決定する必要があります。
3.事業目的の適格性調査
事業目的には適法性と明確性が必要ですので、違法なものや漠然としたものは事業目的にすることができません。
これは、管轄の法務局で確認してもらうことができます。
また許認可が必要な事業を行う場合は、必ず許認可を受ける官公署にも事業目的の記載方法を確認しておきましょう。
必要な事業目的が登記されていない場合、許認可されない可能性があります。
4.類似商号調査
新会社法では「同じ所在場所での同じ商号の登記は禁止」とされましたので、いわゆる類似商号でも登記自体はできますが、近くで既に似た商号で同じ事業をしている会社がある場合には、不正競争防止法による商号使用の差止請求や損害賠償請求をされる可能性があります。
念のため、管轄の法務局で確認しておいたほうがよいでしょう。
5.会社代表印の作成
商号に問題がなければ、会社代表印(会社の実印)を作成します。
会社設立の過程で押印する書類もありますので、早めに手配しておきましょう。
会社代表印とあわせて、口座開設のための銀行印・領収書などに押印するための角印も手配しておいたほうがよいでしょう。
6.定款の作成
会社活動の根本規則である定款を作成します。
定款に記載する事項には、
- 必ず記載が必要な絶対的記載事項
(記載がなければ定款全体が無効になってしまいます) - 記載すれば法的な効力が生ずる相対的記載事項
- 法的効力はないが会社運営を明確にするための任意的記載事項
があります。
絶対的記載事項
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名および住所
- 発行可能株式総数
相対的記載事項
- 現物出資(動産・不動産・有価証券など金銭以外の出資)がある場合、現物出資者の氏名・財産・価格・割当株式数
- 株式を譲渡制限する場合はその内容
- 株券を発行する場合はその旨
- 取締役会などを設置する場合はその内容
- 取締役などの任期の伸長・短縮
など
任意的記載事項
- 公告の方法
- 事業年度
- 支店の設置
など
定款は通常3通必要です。
1通は認証用、1通は登記申請時の添付書類として、もう1通は会社保管用となります。
それぞれ、発起人の実印を押印します。(記名押印・捨印・契印)
※電子定款の場合は1通で足ります。
7.定款の認証
株式会社の定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません。
この認証は、本店所在地を管轄する公証人役場で受ける必要があります。
事前に予約をしておくと良いでしょう。
認証が終わると、会社保管用原本と登記申請用謄本が渡されます。
必要なもの
- 発起人全員の印鑑証明書
- 認証に出頭する発起人の実印
- 作成した定款3通
- 委任状(認証に出頭できない発起人がいる場合)
※この場合、代理人の身分証明と印鑑が必要です。 - 認証手数料 50,000円
- 謄本交付手数料 1,000円~2,000円(定款枚数によって異なります)
- 40,000円の収入印紙
※電子定款での認証の場合、この収入印紙は不要です。
8.資本金の払込
定款認証が終われば、発起人(複数の場合は代表発起人)の個人名義の銀行口座に出資金を振り込みます。
必ず、「発起人名義で出資金額を実際に振り込み」する必要があります。
※「預入」では原則として払込と認められません。
※すでに口座に資本金額以上の預金があっても、実際に振り込みしなければ払込とは認められません。
全ての振り込みが確認できたら、通帳の以下のページをコピーしておきます。
- 表紙
- 1ページ目(口座名義人・口座番号などが記載されているページ)
- 払込があったことがわかるページ(払込があった部分にマーカーしておきます)
このコピーをもとに払込証明書を作成します。(会社代表印の押印が必要です)
9.設立時役員等・代表取締役・本店所在場所の決定
設立時役員等の選任
出資金の払込が終了すれば、設立時役員等を選任します。
設立時役員等とは、設立時取締役・設立時監査役(監査役設置時)などをいいます。
原則として発起人の議決権過半数をもって決議し、「発起人の決議書」を作成します。
また、設立時役員等が選任を承諾した場合は「就任承諾書」の作成が必要です。
但し、定款で設立時役員等の氏名を具体的に記載している場合は決議書は不要です。
また、設立時役員に選任された者が発起人として定款に記名押印している場合は就任承諾書は不要です。
代表取締役の選定
設立会社が取締役会設置会社の場合、設立時取締役の過半数をもって代表取締役を選定する必要があります。
なお、取締役会を設置しない場合は代表取締役の選定は任意です。(選定しない場合、取締役全員が代表権をもつことになります)
本店所在場所の決定
本店所在地について、定款で番地まで確定していない場合には、発起人の議決権過半数をもって番地まで決定のうえ「発起人の決議書」を作成する必要があります。
10.法務局に株式会社設立の登記申請
以下の書類を作成して、管轄法務局に登記申請します。
なお、登記申請日が会社設立日となります。
登記申請日から通常1週間から3週間で登記完了となります。
必要なもの
- 登記申請書
- 定款謄本
- 取締役・代表取締役の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
- 払込証明書
- 印鑑届出書(会社代表印の押印が必要です)
- 就任承諾書
- 発起人の決議書・同意書
- 調査報告書・財産引継書(現物出資する場合)
- 委任状(代理人が申請する場合)
- 資本金の額×7/1000(最低150,000円)の収入印紙(登録免許税として)
など
11.登記完了後の諸手続
登記が完了すれば、以下の手続を行います。
- 法務局での登記簿謄本・印鑑カード・印鑑証明書の取得
- 金融機関での口座開設
- 税務署での法人設立の届出など
- 都道府県税事務所・市町村役場での事業開始の届出
- 社会保険事務所での社会保険関連届出
- 労働基準監督署での労災保険届出(従業員を採用する場合)
- 公共職業安定所での雇用保険届出(従業員を採用する場合)
- 担当官公署での許認可の申請(営業許可等が必要な場合)
など
手続の中には期日が定められているものもありますので、注意が必要です。
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以上が株式会社設立の基本的な流れとなります。
全てを一人ですることもできますが、膨大な時間と手間や専門的な知識が必要とされます。
本来の業務に専念するためにも、専門家へのアウトソーシングをおすすめします。
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