延命措置に備えて~尊厳死宣言書
尊厳死宣言書とは、延命治療を拒否して自然な死を迎えるためのものです。
事故や病気などで回復の見込みのない脳死状態になったとき、あなたは延命措置を希望するでしょうか?それとも、苦痛の緩和の措置だけしてもらって自然な死を迎えたいと願うでしょうか?
どちらを希望するかは人それぞれですが、最近では延命措置を望まない人が増えていることも事実です。
ただ、延命措置を望まないと心の中で思っていても、実際に意思表示をしておかなければ希望をかなえることは難しいでしょう。
また、家族が延命措置を望まないことを医師に伝えたとしても、医師がそれに応じる可能性は低いと言わざるを得ません。
医師は尊厳死に関しては消極的です。
延命措置の拒否のためには、最低でも「尊厳死宣言書」などの客観的な書類で意思を明確にしておく必要があります。
また公正証書で作成しておけば、より本人の意思が明確になりますので、医師が尊厳死を認める可能性が高くなります。
尊厳死とは?
尊厳死とは、患者が「不治かつ末期」になったとき、自分の意思で延命治療をやめてもらい、人間としての尊厳を保ちつつ死をとげることをいいます。
「不治かつ末期」とは、一般的には脳死状態を指すとされています。
尊厳死宣言書の作成
尊厳死宣言書は、尊厳死を希望する理由を明らかにして、関係者に責任が及ばないように配慮して作成することが大切です。
本人の意思を強く明確にするために、公正証書での作成をおすすめします。
作成上のポイントは以下の通りです。
- 尊厳死を希望することの意思表明をする
※疾病が「不治かつ末期」と診断されたときには苦痛を最大限和らげる措置を除いては延命措置はしないでほしいという希望を家族と医療関係者に伝えます。 - 尊厳死を希望する理由を書く
※家族への経済的な配慮など、理由を明確にすることによって医療関係者への説得力が増します。 - 家族の同意
※家族の同意なしでは尊厳死が認められる可能性は低くなります。家族がすでに同意している旨を記載し、家族の署名・捺印を受けます。 - 家族や医療関係者の免責についての配慮
※延命措置中止に伴って、家族や医療関係者が刑事・民事責任を負わないように、警察・検察関係者に対して配慮を求めます。 - 宣言の効力について記載
※自身の精神が健全な状態で宣言したこと、撤回しない限り有効であることを記載します。
尊厳死宣言書の提示
尊厳死宣言書は、自身で保管するか家族に預けておきます。
自身で保管する場合は、保管場所を家族に告げておきましょう。
そして、万が一の際には必ず医療関係者に尊厳死宣言書を渡して希望を伝えるように家族に頼んでおきます。
医療関係者には入院時に渡すか、自身が意識不明になった段階で渡すよう家族に頼んでおきましょう。
少なくとも、延命治療開始前に渡しておくことが望ましいです。
なお、尊厳死の宣言はいつでも撤回することができます。文書で撤回の意思表示をしたうえで尊厳死宣言書を破棄しておけば確実です。
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尊厳死宣言書も、他の書類同様公正証書での作成をおすすめしています。
財産管理委任契約書(+死後事務委任契約)+任意後見契約書(+見守り契約) +遺言書(+尊厳死宣言書) |
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を適切に組み合わせて、同時に公正証書で作成することによって、
- 全ての書面に公正証書のメリットを活かすことができる
- 必要書類を最小限に抑えることができる
- 公証人役場へ赴く回数を抑えることができる
メリットがあります。
そして何よりも、
老後から死後までの「あんしんのグランドデザイン」を描き、それを実現することができる
ことが最大のメリットではないでしょうか。
当事務所では、「あんしんのグランドデザイン」を描くためのアドバイスと、その実現のための各書類の作成を、親身になってサポートいたします。
カテゴリー:相続・遺言サポート