相続人の調査
相続手続きを進める上で、まずは法定相続人を確定することが必要です。
万が一法定相続人を見落として手続きを進めてしまうと、全ての手続きが無効になってしまう可能性があります。
相続手続きのタイムスケジュールを押さえながら、早急に、かつ確実に行わなければなりません。
詳しくは、以下をご確認ください。
戸籍の取寄せ
法定相続人を確定するために、まず故人の戸籍を取寄せます。
故人の出生時期まで遡って取寄せ、更に推定相続人(相続人になる可能性のある人)の戸籍も順次取寄せて相続人を確定します。
戸籍は、婚姻や離婚、再婚、転籍、法改正などによって途切れていることも多いので、戸籍・除籍・改正原戸籍などを丁寧に読み解いて取寄せる必要があります。
このために、何度も役所に戸籍取得の請求をすることになりますし、本籍地が何度か変わっている場合には、その時々の本籍地の役所に請求をすることになりますので、相当な時間と労力が必要となります。
又、相続放棄や限定承認をする場合には3ヶ月以内に必要な戸籍などを揃える必要がありますので、より早急に取得しなければなりません。
当事務所では、早急かつ確実な戸籍取得をサポートしています。
相続関係図の作成
戸籍の読み解きは複雑な場合が多く、枚数も通常かなりの数になりますので、相続関係を整理して明確にする必要があります。
そのために、必要な戸籍を全て取寄せて法定相続人を確定した後には相続関係図を作成します。
法定相続人とは?
法定相続人とは、法律の規定によって相続人になる人のことをいいます。
遺言がある場合は原則として遺言で指定されたとおりに遺産分割がされますが、遺言がない又は遺言が法律的に有効でない場合は原則として法定相続の規定によることになります。
法律では、相続人になる人の順位と相続財産の分配割合が決められています。
相続人になる人の順位
■配偶者は常に相続人
故人の配偶者は常に相続人になります。
但し婚姻届を出している戸籍上の配偶者に限られますので、どんなに長い同居期間があっても内縁関係の人は法定相続人にはなりません。
■第一順位は直系卑属
直系卑属(故人の子、孫、ひ孫)は第一順位の相続人になります。
故人の子がいれば、その子は常に相続人になります。
また、子に相続の権利がない場合(死亡・欠格・廃除されている場合)で孫がいる場合は孫が、子や孫に相続の権利がない場合でひ孫がいる場合はひ孫が相続人になります。
これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。
故人の養子や認知した子(非嫡出子(ひちゃくしゅつし)といいます)も相続人になります。
■第二順位は直系尊属
直系尊属(故人の父母、祖父母、曾祖父母)は第二順位の相続人になります。
第一順位の直系卑属がいない場合のみ相続人になります。
また、父母がいない場合は祖父母が、父母や祖父母がいない場合は曾祖父母が相続人になります。(代襲相続ではありません)
■第三順位は兄弟姉妹
故人の兄弟姉妹は第三順位になります。
故人に直系卑属や直系尊属がいない場合のみ相続人になります。
兄弟姉妹に相続の権利がなく兄弟姉妹に子がいる場合は、その子(故人の甥、姪)が代襲相続します。
但し、甥や姪に相続の権利がなくても甥や姪の子は相続人とはなりません。(兄弟姉妹の代襲相続は子までに限定されます)
相続財産の分配割合
法律で規定された相続財産の分配割合を法定相続分といいます。
法定相続分は、相続人の組み合わせによって異なります。
■相続人が配偶者のみ
配偶者が全ての財産を相続します。
■相続人が配偶者と子
相続分は配偶者が2分の1、子が2分の1となります。
子が複数いる場合は、2分の1を子の数で割った割合になります。
養子も同様の相続分です。
非嫡出子も相続権はありますが、相続分は嫡出子の2分の1となります。
■相続人が配偶者と父母
相続分は配偶者が3分の2、父母が3分の1となります。
父母が共に健在なら、それぞれ6分の1となります。
また故人が普通養子だった場合は、生家の実父母にも相続権があります。
■相続人が配偶者と兄弟姉妹
相続分は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。
兄弟姉妹が複数いる場合は、4分の1を兄弟姉妹の数で割った割合になります。
父母の一方だけが同じ半血兄弟姉妹(異母兄弟・異父兄弟)の相続分は、故人と同じ父母から生まれた全血兄弟姉妹の2分の1となります。
■配偶者がいない場合
相続の順位に沿って、相続人となる人が全ての財産を相続します。
相続人となる人が複数いる場合は、相続人の数で割った割合となります。
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法定相続は法律に規定された原則ですので、遺言がない場合は法定相続によって相続財産を分配することも多いです。
但し、相続人全員による遺産分割協議によって分配の割合を変えたり、特定の財産を一人に相続させることも出来ます。
特に、不動産や故人が経営者だった場合の事業資産を法定相続に沿って共有名義にしてしまうと、後々のトラブルにつながる可能性がありますので、遺産分割協議によって単独名義にすることを検討する必要があります。
カテゴリー:相続・遺言サポート